現況測量と境界確定測量について

当事務所の土地家屋調査士の測量業務については、現況測量(仮測量)と境界確定測量が大部分を占めます。今回はこの二つの測量の違いについて記述していきたいと思います。

現況測量とは

現況測量とは現場の構造物(ブロック塀や建物、道路側溝など)を測量して、現況測量図を作成する業務です。ご依頼内容によって高低差や真北方向、道路現況幅等を記載する場合もあります。資料や境界標識等が無い境界点についてはご依頼主様の要望や現況構造物に基づいて仮の境界点を設定しますので、それにより算出された地積は、関係隣接地との境界立会・承諾を経たものでは無いため、仮地積(土地の大まかな面積)という扱いになります。よって現況測量だけでは地積更正登記や分筆登記を申請することは出来ません。

境界確定測量とは

境界確定測量とは、現況測量や官公庁や民間の資料・現況構造物・関係者への聴き取り調査などから境界を査定、関係隣接地所有者との現地立会・承諾を経て境界を確認・確定する測量作業を言います。境界の立会・承諾を経て境界確認書を作成し、依頼地とその隣接地との間で取り交わします。境界標識が亡失していたり移動している箇所については新たに設置、または復元や修正などを行います。作成された境界確認書は確定した境界を証明する書面であり、地積更正登記や分筆登記の添付書類となります。境界確定測量を経た境界点によって算出される土地の面積は、大まかなものではなく確定した正確な面積ということになります。

両者の相違点

①掛かる期間

現況測量は現地の状況を測量・図面化する作業のみですので、通常の一筆地測量であれば測量に1日~2日、図面化に1日~2日程度の合計2日~4日程度で完了することがほとんどです。一方、境界確定測量は現況測量の作業に加えて隣接地や関係地の所有者様との境界立会・確認承諾、境界確認書の取り交わしを経るため、完了までに通常2カ月~3か月程度の時間を要します。隣接地が民有地のみの場合は比較的早期に完了する場合もありますが、ほとんどの案件は道路などの公共用地との境界確認をする必要があり、その場合は公共用地との境界確定だけで一定の期間(通常ですと公共用地境界線確定までは1.5~2.5カ月程度)を要します。また隣地境界線については、境界線の認識の相違などの影響で不調(境界線の話がまとまらないこと)になる可能性があることに注意が必要です。その場合は法務局への筆界特定申請などの方法を模索することになります(筆界特定は申請から完了まで半年~1年程度を要することが多いです)。売買等を前提とした境界確定測量を予定される場合は、早めのご依頼をお勧めいたします。

②費用

上記のように掛かる期間と作業内容が大きく異なるため、費用が大きく変わってきます。現況測量は比較的安価(当事務所ですと一番安価な場合で税込み5万円程度)ですが、境界確定測量はそれに比べると比較的高額(当事務所ですと一番安価な場合で税込み33万円程度)となります。現況測量は境界確定測量の初期測量として実施されるため、境界確定測量の費用には現況測量の費用も含まれています。

③用途

現況測量の成果である現況図面や仮丈量図は建物の建築図面などに使用されることが多いようです。地積更正や分筆登記を申請したい場合、境界が確定している資料(境界確認書など)を登記申請時に添付する必要があるため、境界確定測量が必要となります。また近年は境界が確定していることが売買の条件になっていることが多いですし、境界紛争を予防する意味でも境界確定測量は非常に有意義であると言えます。

最後に

今回は現況測量(仮測量)と境界確定測量について取り上げてみました。当事務所は現況測量、境界確定測量、相続関係に絡んだ案件も併せてサポートさせていただけますので、お気軽にご相談ください。